トラック運転者不足が深刻になっていることに対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、
経済の成長に役立つことを目的として、以下に取組む運動です。
「ホワイト物流」推進運動の目的
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1
トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化
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女性や60代の運転者等も働きやすい
より「ホワイト」な労働環境の実現
「ホワイト物流」推進運動の概要を動画で解説します
「ホワイト物流」推進運動の背景
トラック運転者不足の深刻化により、物流機能は危機的な状況に陥っています。この改善には、荷主企業・納品先企業の皆様や国民の皆様の協力が必要です。
国民生活や企業活動に不可欠な物流の担い手であるトラック運転者の不足は極めて深刻で、トラック運転者がいないために物が運べないこともしばしば生じています。 その背景には、出荷元・納品先での待ち時間が長いことによる長時間労働や、積込・積降し等荷役作業の肉体的負担などがあります。 これら荷待ち時間や荷役作業時間の長さ、および荷役作業の負担の改善には、出荷元や納品先での物流業務を効率化することが欠かせません。 物流事業者と、荷主企業や納品先企業等の物流の利用者が相互理解の下に連携して、物流の効率化や生産性向上に向けての取組を広げていくことが求められています。
数字でひも解く物流業界の抱える問題点
トラック運転者の高齢化等により、今後トラック運転者不足は一層深刻化するとみられます。
このことが先々のトラック運送料金に影響を与えることも考えられます。
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トラック運転者はピーク時より減少
道路貨物運送業における自動車運転従事者数の推移
平成7年 980千人→平成27年 767千人
(出典)国勢調査を基に作成
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トラック運転者の有効求人倍率は1.97倍※
※令和3年3月
トラック運転者と全職業の有効求人倍率の推移
(出典)厚生労働省からの提供データを基に作成
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トラック運転者は高齢化
トラック運転者と全産業全職種の平均年齢の比較
(出典)厚生労働省 「平成29年度賃金構造基本統計調査」より作成
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トラックの調達コストは上昇
企業向け「道路貨物輸送」サービス料金価格指数推移 (平成22年(2010年)平均=100)
(出典)日本銀行「企業向けサービス価格指数」を基に作成
トラック運転者不足の大きな要因の一つに、労働時間の長さや作業負荷の重さがあります。 これらは運転時間よりもむしろ、出荷元や納品先での作業が背景となっているケースが多くみられます。
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トラック運転者の労働時間は 全産業平均より約2割長い
トラック運転者と全産業全職種の平均労働時間の比較
(出典)厚生労働省 「令和2年度賃金構造基本統計調査」より作成
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荷待ちや荷役が長時間労働の一因
1運行あたり拘束時間の内訳
出典:国土交通省・厚生労働省 「トラック輸送状況の実態調査」(令和3年)
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荷待ち時間の平均は1時間34分
荷待ちが発生する場合の荷待ち時間の内訳
出典:国土交通省・厚生労働省 「トラック輸送状況の実態調査」(令和3年)
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「ホワイト物流」推進運動への参加により期待できる効果
「ホワイト物流」推進運動への参加で、このような効果が期待できます!
- 業界の商慣行や自社の業務プロセスの見直しによる生産性の向上
- 物流の効率化による二酸化炭素排出量の削減
- 事業活動に必要な物流を安定的に確保
- 企業の社会的責任の遂行 等
すべての関係者が問題意識を持ち、
物流の効率化・生産性向上のために協力していきましょう!
「ホワイト物流」推進運動は、物流に関わるすべての関係者が連携して
相互に改善を提案し、協力して実現を目指す取組を推進する国民運動です。
物流機能の安定的な確保に向けて、それぞれの立場で必要な取組があります。
荷主企業・納品先企業等の皆様へ
「ホワイト物流」推進運動の趣旨にご理解いただいた上で、「ホワイト物流」推進への参加をお願いします。
運動への積極的な参加をお願いいたします
「ホワイト物流」推進運動への参加は、「自主行動宣言」を提出することによって行います。 詳細は「ホワイト物流」推進運動への参加手順をご確認ください。 荷主企業の皆様だけでなく、納品先企業の皆様にも、積極的な自主行動宣言の提出をお願いいたします。
荷主企業・納品先企業等にお願いしたい取り組み内容
- 運動の趣旨と、必須項目3点
についての賛同表明 -
- トラック運転者不足が深刻化する中、企業活動に不可欠な物流を今後も持続的・安定的に確保していくためにどうするかが、企業の重要な経営課題となっていることをご理解ください。
- その上で「生産性の高い物流」と「働き方改革の実現」の両立に向けて、荷主企業・納品先企業・物流事業者が理解・協力し合うことにより、物流の非効率な点の見直しに取組んでいただくことをお願いします。
- 自社でさらに取組む項目の
選定 -
- 必須項目3点を踏まえて、より具体的な取組項目をお考えください。
- 選定にあたっては 「推奨項目リスト」 を参照ください。
- 取組項目の数や内容は、各企業の物流の特徴に基づき、ご自由に選定いただいて結構です。
- ※「推奨項目リスト」は、「トラック輸送の生産性向上・物流の効率化」や「女性や高齢の運転者等も働きやすい労働環境の実現」を目的とするものをはじめとして、運送契約の適正化や安全確保を図るもの等、様々な項目で構成されています。
- ※無論、このリストにない自社特有の取組項目を選定いただいても結構です。
取り組み内容の具体例
物流の改善に向けて実際に取り組める内容の一例をご紹介いたします。
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荷待ち時間の削減に向けて
- 具体的な方策の例
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- ・物流の改善提案と協力
- ・予約受付システムの導入
- ・発荷主からの入出荷情報等の事前提供
- ・出荷に合わせた生産・荷造り等 他
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荷役作業の負担軽減に向けて
- 具体的な方策の例
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- ・物流の改善提案と協力
- ・パレット等の活用
- ・運転以外の作業部分の分離
- ・荷役作業時の安全対策 他
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物流の生産性向上に向けて
- 具体的な方策の例
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- ・物流の改善提案と協力
- ・パレット等の活用
- ・集荷先や配送先の集約
- ・船舶や鉄道へのモーダルシフト 他
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納品先企業の入荷作業効率化に向けて
- 具体的な方策の例
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- ・物流の改善提案と協力
- ・予約受付システムの導入
- ・納品日の集約 他
※納品先企業では、荷主(納品元)企業から納品時の業務見直しの要望がある場合、協議対応をお願いします)
物流事業者の皆様へ
物流事業者の皆様にも、自主行動宣言を提出して、「ホワイト物流」推進運動への参加をお願いします。 特に他社に運送業務を委託する元請の物流事業者や運送事業者の皆様には、積極的な取組を期待します。
物流事業者にお願いしたい取り組み内容
- 委託先運送会社の 運送業務の適正化
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- 元請の物流事業者や運送委託先の皆様には、下請け取引の適正化に向けての取組の推進をお願いいたします。
- 委託先運送会社の運送業務についても、荷待ち時間の長さや、荷物の積込・積降し時の負担の状況を適宜確認してください。その上で、必要に応じて改善策の協議をお願いいたします。
- 荷主企業等に向けての 物流・運送業務の改善提案
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- 荷主企業の物流業務の内容を踏まえ、物流の生産性の向上や、物流業務のムダや非効率の解消に向けて、積極的な検討や提案をお願いします。
- 荷待ち時間の長さや、荷物の積込・積降し時の負担等、非効率な点があれば、荷主企業等に改善の申入れや提案の検討をお願いします。
- トラック運転者の 労働条件・労働環境の改善
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- トラック運転者の確保・定着化を図るためには、労働条件や労働環境の改善が不可欠です。
- 荷待ち時間や荷役時間の改善を図る等により、トラック運転者の就業時間の短縮や休日の増加に向けての取組をお願いします。
事業者団体の皆様へ
関係団体の皆様には、会員企業等に対して、 「ホワイト物流」推進運動の周知へのご協力をお願いいたします。
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機関誌への掲載
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経営層の参加する会議などでの 説明機会の提供
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会員企業の会議等の場での 運動に関するご説明
国民の皆様へ
国民の皆様にも、「ホワイト物流」推進運動の趣旨へのご理解や、 「宅配便の再配達の削減」、「引越時期の分散」などへのご協力の呼び掛けを行って参ります。
国民の皆様一人ひとりができる取組があります
物流は私たちの生活を支えています。
私たちが、これからも、欲しいものを、欲しいときに、欲しいところで、手にすることができるように、一緒に社会を良くしていきませんか?
- 物流への理解と協力
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- 皆さんに食料品や日用品などを届けるため、トラック運転者は日夜、頑張って貨物を運んでいます。普段はあまり意識されていませんが、物流が私たちの生活を支えています。
- 現在、運転者不足が深刻化しています。運転者が働きやすい環境の整備や物流の効率化に皆様のご理解・ご協力をお願いします。
- 宅配便
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商品を配達するためには費用と人手が必要です。運転者不足に対応しつつ、宅配サービスを維持するため、以下の取組にご協力をお願いします。
再配達はトラックなど、自動車を使って行われる場合がほとんどです。
再配達のトラックから排出されるCO2の量は年間でおよそ42万トン(2015年度国交省調査)と推計されており、
宅配便の再配達は地球環境に対しても負荷を与えています- できるだけ1回で受け取りましょう。
- このため、宅配ボックスや営業所、コンビニ等での受取も活用しましょう。
- 「置き配」サービスも活用しましょう。
「置き配」利用時に指定できる場所の一例
- 送るときは、自分や相手が受け取りやすい日時・場所を指定しましょう。
- 通信販売を利用する際には、できるだけまとめ買いしましょう。
- サービス内容の見直し(例.日曜日の集荷・配達の取りやめ 等)へのご理解・ご協力をお願いします。
- 引越し
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- 混雑時期を避けましょう。
- 早めに依頼しましょう。
引っ越しは3~4月がピークとなり、例年同様の傾向です。
参考までに、2022年は下記の引越混雑予想でした。
最繁忙期(3~4月)を避けて引っ越しするとこんないいことも!
- 3月末の土日の引越と比べて、引越代金が安くなった
- 会社の従業員の引越に係るコストを抑えることができた
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3月の最終週から引越時期をずらすことで、予約が取りやすくなった
(最繁忙期を避けた、引越サービスの利用者の方々からの声)
- 駐車
- トラック運転者の休憩と安全運転のため、SA・PA、道の駅、コンビニなどの大型車駐車スペースへのマイカーの駐車はお控え下さい。
- 応援
- より良い物流の実現のために努力している企業を応援してみませんか? (例) トラック事業者:「ホワイト経営マーク(仮称)」(労働条件・労働環境)、Gマーク認定事業者(交通安全) 荷主企業 : 「『ホワイト物流』推進運動」賛同企業